2009年1月20日火曜日

ナチュラル☆ぱんぴー

小学校の頃、周りの奴がぱんぴーじゃない俺をからかうことが良くあった。その頃、俺はぱんぴーに憧れていて「みんなの輪に溶け込む」ということを至上命題としていたが、いつもずれていた。ナチュラルな行動をとるとどうも周囲から浮くのだ。そして俺は中学に入った。頭いい奴がいっぱい居て、そいつらは「ナチュラルじゃつまらないからあえて」変人な奴が多かった。そこでは「ナチュラルに」変人な俺はやっぱりからかわれた。そしてその頃、やっぱり俺はぱんぴーに憧れていた。より正確に言うなら「ナチュラルじゃつまらないからあえて変人な奴」というぱんぴーに憧れていた。そうして結局ぱんぴーになれないまま高校を卒業した。その後、俺は引きこもったり食べ物を拾ったりして一年を過ごした。引きこもりとホームレスはその頃の俺にとって天使だった。ナチュラルだからこそ引きこもり、ナチュラルだからこそ家が無くなるのだと半ば信じていた。今でも少し信じているかもしれない。その無意味な一年間を過ごした俺は、やっぱり引きこもりにもホームレスにもなれない自分を発見した。俺はナチュラルになりたいがために変人をやめた結果、ナチュラルでも変人でもないただの人になっている自分を発見したのだ。そう、まさに夢見たユートピア、ぱんぴーになった瞬間である。・・・と言いたいところだが、それはぱんぴーではなかった。ユートピアにたどり着いたらそこは地獄の入り口だったのだ。俺はこの先どうなるのかわからない。変人でもナチュラルでもなくなっちまったから、もうなにもかもわからない。時々芸術をする、時々仕事をする、時々退廃をする。なんだかよくわからない。でもそれでいいと思ってる。たぶん俺が夢見たのはナチュラルにぱんぴーな奴だったのだ。平和に暮らしたかったのだ。別に好きでドン引きされるわけじゃない。空気のように溶け込んで、縁の下の力持ちよろしく世界を支える、すばらしくまともな人間たちに俺は憧れていたのだ。しかしそんな気持ちは、今はもうない。

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